令和4年度西北地区特別支援連携協議会第2回運営協議会並びに研修会

112日、令和4年度西北地区特別支援連携協議会第2回運営協議会並びに研修会が開催されました。

運営協議会には関係各位38名が参集し、令和4年度事業報告並びに令和5年度活動計画(案)の審議を行いました。令和4年度の活動を踏まえて、5年度も同様に活動を進めることを確認しました。

運営協議会に引き続き、研修会が開催されました。

<研修会の報告>

研修会は「発達障害のある人たちへの各ライフステージにおける支援のあり方」と題して、松本敏治氏(教育心理支援教室・研究所ガジュマルつがる代表)と、今泉敬子氏(公認心理師)の2名が講演をしました。

松本氏は、スクールカウンセラーとしていくつかの学校を回る中で、子どもの変化を感じているとし、子どもたちを3つの軸(神経発達障害の特性、知的水神、二次的問題・愛着障害)で見る必要があるとしました。このうち、「特性」と「障害」は別であり、「特性(診断)」があっても、年齢や環境によっては生活上で大きな問題にならない場合もあるので注意が必要としました。また、発達障害による二次障害については、2つのタイプがあることや関わり方による「相互作用」でより激しくなることなどを指摘しました。このような「発達障害」のある幼児児童生徒が示す行動上の問題や、その他の社会的な不適応の背景に、「愛着障害」の問題があるとして、今泉氏から講演がありました。

今泉氏は、公認心理師として乳幼児検診の現場にも関わっており、その感想として、子育て環境の変化によって健全な「愛着形成」が成立しにくくなっていること、アドバイザーとして保健師に頑張ってもらいたいことをお話しました。用語の整理として、「愛着(アタッチメント)」とは子どもが養育者との間にある生理的つながりを基盤とした情緒的つながりのこと、「内的ワーキングモデル」とは愛着対象との相互交流を通した自己への信頼と他者への信頼感に関わる自己と他者の関係についてのモデルであるとし、生後1年でタイプは決まるとしました(演習として自分自身のタイプを自己チェックしました)。その後、愛着の形成過程や形成失敗のモデルを示しました。さらに、「内的ワーキングモデル」による。アタッチメント4タイプ(安定型、回遊型、アンビバレント型、無秩序・無方向型)を示し、各々がそれぞれの愛着パターンを持って人と関わっており、この関係性のずれで悪化が生じるとしました。さらに、DSM-Vによる愛着障害の行動の特徴、人格障害との関連、愛着関係の評価、愛着の機能分析などを丁寧に解説しました。愛着障害の3大特徴は、①愛着欲求行動②愛情試し行動③愛情欲求エスカレート現象として、これらの行動は、神経発達障害で現れる行動に似ている部分もあるため、間違ったアドバイスや対応をしてしまうことがあると指摘しました。子どもへの支援に当たっては、「愛着障害」への対応も踏まえる必要があるとしました。

まとめとして、松本氏は、日本の子ども達が置かれている状況について、他国との比較から示し、精神的幸福度や社会的スキルが低いこと、貧困による学習上の課題(教育機会の喪失)などの問題点を指摘しました。最後に、友達を作ることが出来ず、相談する人もなく、様々なつながりや学ぶ機会を奪われ、幸せを感じられない子供達に対して、私たちが出来ることを提示しました。

今回の研修会には、森田養護学校教職員の他、西北地区特別支援連携協議会運営協議会に参加した西北地区の小・中・高校、各市町村教育委員会、保健師、福祉関係者など、子どもの発達支援、教育。療育に関わる方々が多数参加しました。発達障害への支援は考えていても、愛着障害に関する知識や発達障害との関係については十分に理解されていない状況下での講演は、それぞれの参加者にとって得ることが多かったのではないかと思います。
開催当日は、雪道の中お集まりいただき、また感染症対策にご協力いただきましてありがとうございました。